バラガキ 中場利一

mizuka082008-04-04

土方歳三のバラガキ時代の話です。
新撰組が歴史的に有名になってしまう直前で話は終わります。

試衛館時代がメインかと思っていたので、ちょっとだけ肩すかしでしたが、読みやすく、面白かったです。


べらんめえ口調で、喧嘩っ早い、乱暴者の土方さんが、他の作品から比べると新鮮です。
この辺は創作だと思いますが、沖田君がことごとく土方さんをからかい、いじめるのが生き甲斐…のような書かれ方をしていて、二人の関係が面白かったです。
ひょうひょうとして明るい、京都弁の山崎さんも、他の本とはイメージが違いました。

本文は一貫して明るい感じで、時々クスリと笑い所もあり、サクサク読めるのですが、一番気になったのは沖田君が土方さんの事を”黒猫”と呼んでいて
(みんな敵なのかもしれないなぁ。(割愛)うん!黒猫を斬るのはわたしです。斬れるかな、わたしに黒猫が斬れるかな)
と放心したように考えている所で、もう悲しくなりました。
その頃の新撰組の状況とか、背景とか、沖田さんの人間離れした感覚とか、色々考えて、「黒猫を斬る」と考えてしまった沖田さんを妄想して悲しくなった。
まぁ、所詮作者の捏造部分には違いないのですが…。
結核発症後の「黒猫が斬れない」話に関係してるのかな??

そして、一番泣けたのが「解説」でした…。
時間と共に理不尽な物が一つづつ減っていって、”バラガキ”ではなくなっていって、大人になってしまうんだよ〜…というような内容なのですが、バラガキ時代のトシが本文でとても魅力的に書かれていたので、とても悲しすぎる解説になりました。。。。


蛇足ですが、芹沢さんの”佐々木愛次郎”事件は、どの本で出てきても本当に腹が立つ!!
芹沢さんもカリスマのあった魅力的な人物だったとは思うのですが、この事件だけは毎度不快になります。